優れたまちなみが、住まいを長持ちさせる。
ストックの時代と言われています。良いものをつくり丁寧に使用して行くことが地球環境に優しいライフスタイルです。
長期優良住宅の施策が進められております。住宅を長持ちさせるためには、「まちなみ」を良く維持することが大切です。住宅生産団体連合会の機関紙5月号の巻頭にコメントを掲載して頂きました。~ストックの時代は「まちなみ」から維持したい~との小論です。
「住団連」5月号 巻頭言
ストックの時代は、「まちなみ」から維持したい
優れたまちなみが、住まいを長持ちさせる。(財)住宅生産振興財団
専務理事 石川哲久持続可能な社会を維持するため、資源と資産とを大切に生活するライフスタイル・ストック型社会への転換を目指し、住宅分野では「超長期住宅の推進施策」等が進められています。その際先ず個々の住宅が相応しい性能とシステムを備える事が必要ですが、長く社会的価値も維持するためには、加えて住宅を取り巻く住環境とまちなみも良好に保たれている事が大切に思います。安心安全で快適な住環境と美しいまちなみは、住む人々に誇りと満足をもたらし、次世代に続く需要をも喚起し、資産価値としても継続されるでしょう。近年住宅地の価格が下落している中でも、良好な住環境を備えた住宅地は相対的に優位に評価されているようです。
昨年ニューヨーク郊外のラドバーンを訪れました。1920年代から開発されクルドサック道路パターンの住宅地として有名ですが、住宅管理組織(Home Owners Association)が当初から設立されて適切に維持管理されている事はあまり知られていません。豊富な樹木と広大なコモン緑地に囲まれた住宅は(火事の一軒を除けば)80年以上に亘り住み続けられており、National Historic Landmark の指定に相応しく、また長期の優良住宅地のモデルであると思います。
日本では、計画的な住宅地開発であるニュータウンや区画整理事業区域内での着工割合に比べ既成市街地内の建替えや道路位置指定等による小規模な住宅地供給が多く、さらに区画整理区域内であっても地権者に換地される宅地について比較的自由に建築できるよう規制を好まない事もあり、残念ながら良好な住宅地の供給が充分とは言い難い状況です。
住宅生産振興財団は昭和54年に創立されて以来、全国で約359箇所、15,881棟に及ぶ新市街地の良好な住宅地のモデルとなるプロジェクトをコーディネーとし、財団に限らず住宅メーカー等による良好な住環境と優れたまちなみの事例も見受けられますが、質量ともまだまだの状況で、更なる努力が必要と思います。
財団では、会員各社と国土交通省からのご支援を受け「住まいのまちなみコンクール」を平成17年から実施して4年間で延べ20の優秀事例を表彰し支援しています。ハウスメーカー等の「生みの親」が作った優れた住宅地を引き継いで適正に維持管理している住民の活動を「育ての親」として選んでいます。作る側と管理する側での様々な知恵と苦心が凝縮した貴重な参考事例となっています。表彰団体等からの御理解と御参加を得て、その経験等を交流普及する場として「住まいまちなみネットワーキング」を今年6月からWebを中心に立ち上げることにしています。
手離れを早くとの意識で供給された住宅でなく、住民を主体とした管理の仕組み(組織や協定等)がビルトインされ頑張っている住宅地は、今後とも活力を持ち続けて次世代までの良好なストックとして長く引き継がれる資産となると思います。
長く住み続けられる住宅地を国民全体の資産として守ってゆきたいものです。



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